「トオムがんばれー」
「ヨーダがんばれーー」
この呼ばれた名は、その人そのものではありません。
その名前の人が創ったをみんなが応援している声です。
「やったー! ヒモが切れたー!!!」森に響く仲間が喜ぶ声。

このシーンは2024年6月8日〜9日にライジングフィールド軽井沢で行われたカムワッカ主催の「スカウティング”モモ”CAMP」のワーク「ファイヤービルディング」のワンシーンです。
参加者ひとりひとりが森の中に入り枝を集め、自分と向き合いながら組み上げ、マッチ1本から火を灯し、だんだんと大きな火となりながら高さ160cmに貼られた麻ヒモを切るワーク。

この大きなを生み出す過程は単なる技術ではなく、自分自身の感覚に覚醒(=自覚)しながら創った「火」であり、「しあわせ」の象徴でもあります。それを感じているからこそ本人も、仲間たちも、本気になって火を応援し、その結果を喜んだり、受け入れたりしているのです。

●キャンプリーダーは松木正さん

このキャンプのリーダーは、アメリカ先住民の知恵と生き方から学ぶ環境教育、自分と自分をとりまく様々な生命との関係教育を軸に「マザーアース・エデュケーション」を主宰されている松木正さん。これまでも「スカウティング”モモ”CAMP」シリーズのキャンプリーダーをして下さっています。

このプログラムは自然の中でのサバイバル技術を習得することで自己肯定感や自己決定力を育む内容になっているのですが、それは単なる技術を伝えるのではなく、松木さんがスー・インディアン(ラコタ族)の伝統を長年通して学んできた技術の裏にある、思考にとらわれず感覚への自覚が導く生き方を学んぶ内容になっています。

今回のテーマはファイヤー&シェルター
日常生活でどうしても思考的になってしまう子ども・おとなが、軽井沢の豊かな森の中に入り、様々なワークを通しながら、思考から離れ、感覚を開いていきます。

まず最初はオープニング。気持ちの良い天気の中、松木さんの話を聞いた後に、初めての仲間と出会い、名前を呼び合い、2日間を共に過ごす仲間として交流していきます。



感覚をひらく、様々なワーク。

いよいよワーク開始。
・キツネのように足音をたてずに、気配を消して歩く。
・焦点を定めず、動物のようにワイドアングルな視界で森に入る。
・目かくしをして、森の中で鬼ごっこをする。

・・・などなど、多数のワークを体験を通して、少しづつ日常的でない感覚を開いていきます。



●自分たちが寝る、シェルターつくり

だんだんと自然に溶け込み、自然のベースに感覚が近づいてきた中で、いよいよ森の枝と葉だけを使った「シェルターづくり」が始まります

雨や雪が降っても大丈夫な作り方、選ぶ場所、向きなどを松木さんにレクチャーいただきながら、森に調和し、守られる、自然物だけで作ったシェルターを学びます。

現代において、もし災害にあったとしても自然物だけでつくるシェルターの中に入ることはほとんどないかもしれません。でも、このシェルターを自分でつくり、動物たちがうごめく森で一晩過ごす経験は「わたしは大丈夫という強い思いを心の奥に必ず残してくれます。

参加者たちは、頭だけでなく感覚を使って材料を集め、森と対話しながらシェルターを形づくっていきます。

そのようにつくられた特別なシェルターは、どれも完成度が高く、参加者はみな朝まで自分のシェルターで過ごしました。



●朝のストレッチ

2日目の朝は、目覚めのストレッチから。
これも自分のカラダの微細な変化を自覚しながら行っていきます。伸ばしているところ、血の流れ、呼吸、動作のひとつひとつ・・・に意識を向けていくことで、これまでにないカラダへの自覚を促していきます。




●幸福や愛の象徴「ファイヤーワーク」

朝食の後、いよいよ「ファイヤーワーク」。
まず松木さんによる「火」の話。大きな火をどうやってつけていくかという技術的なことだけでなく、ネイティブアメリカンにつたわる「幸福や愛」の象徴としての火の話。
2日間のワークを通してこの話を聴くと、納得感があり、そしてこれからつくる火の組み方への関わり方も深まっていきます。

そして、森に入って感覚的に枝を集めます。

自分の人生を表すように、焚き木を組んでいく・・・
火口(ほくち)から火がのぼり、小枝に移り、だんだんと大きな枝に火のバトンを渡していく。思考ではなく、火のつながりを感覚的に捉えながら枝を重ねていく
焦ると、枝の密度が薄い部分ができて火のバトンが渡らなかったり、バランスが崩れて倒れたり・・・この焚き木を組む過程は、生命の流れを感じ、人生の幸せに向かって歩く姿勢と重なってきます。

そして組み上がった人から、順番に焚き木に火を着けていきます。
それがこの記事の冒頭のシーンです。
火が高く上がり、160cmの高さの麻ひもを切ることができるか・・・とてもドキドキします。

ただ、いつもうまくいくわけではありません。
なかなか火が小枝に点かなかったり、最初は順調でも途中の枝が湿っていて燃え移らなかったり、火が上がっても崩れたり・・・
人生のように様々です。それでも、最後に大きな炎となって燃え上がる時の力強さは、自分自身の中にある力強さを象徴しているように感じることができます。だからこそ、この体験はいつまでもその人の中に残っていくのだと思います。


●スカウティング・モモに興味がある方へ

スカウティング “モモ”は、このように人生の幸福にとって重要な、いのちに根ざした「自己決定力」と「人間関係力」を育むことを意図し、企画しているプログラムです。

今後も開催予定ですので、ご興味ある方は、ぜひ次回ご参加ください!
今回の<2024年6月の今回のプログラムの申込みページ(申込終了)>にある、コンセプトもぜひ合わせてご覧下さい。

●他の松木正プログラム
CAMWACCAではスカウティング・モモ以外にも、オンラインで受講できる松木さんの講座や、その他キャンプ企画など、様々なプログラムを用意しています。
ぜひこちらのページで、チェックしてみてください。
BE WIHT カウンセリングファシリテーション講座などから始めてみるのもおすすめです。

(3)松木正さんの著書
また、松木さんの著作から入ってみるのも良いかもしれません。ご興味ありましたら、ぜひチェックしてみて下さいね。

松木さんの著作はこちら

松木正さんプロフィール
先住民の知恵と生き方から学ぶ環境教育、自分と自分をとりまく様々な生命との関係教育を軸に「マザーアース・エデュケーション」を主宰。

京都府伏見生まれ。 大学在学中、自身がうつ病を克服していく過程でカウンセラーと出会い、教育の現場にカウンセリングの手法を用いることの可能性を探り始める。

YMCA職員などを経て環境教育を学ぶために渡米。全米各地で環境教育のインストラクターをする中でアメリカ先住民の自然観・宇宙観・生き方、またそれらをささえる儀式や神話に強く引かれ、サウスダコタ州シャイアン居留区に移り住みスー・インディアン(ラコタ族)の子どもたちの教育とコミュニティ活動をしながら伝統を学ぶ。

現在、神戸を拠点に全国各地にて、キャンプの企画や指導、企業研修、学校での人間関係トレーニング、また保護者に向けてのワークショップ、子育て講座、アメリカ先住民の知恵を前面に打ち出したキャンプの企画と指導、神話の語り、教育的意図をもった企画講座、個人カウンセリングなど、幅広く活動している。※松木正さんの個人カウンセリングセッションは、「こちらからお問い合わせください。

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