
なんか急に日が伸びたな、とか、夕方時計を見てまだ明るい!とか感じることってありませんか?実はその「急に」という感覚、錯覚ではないんです。
3〜4月春分のあたり、9月〜10月秋分のあたりって、すごい勢いで日の長さが変化しているのだそうです。教えてくれたのは、地球暦考案者の杉山開知さん。

2025年3月、明治学院大学で開催した学校地球暦研究会「◯クエスト」にて、地球暦考案者の杉山開知さんと&明治学院大学の渋谷恵さんとお話した内容をもとにした記事です。
「春分は変化量が大きい!?」

杉山:今の時期、春分のあたりって、1日に2分くらい日の長さが伸びてるんだよ。つまり10日で20分。すごい勢いで変化してるの。
渋谷・カム:最近「なんか日が伸びたな」って感じてたけど、そんなに変わってるんだ!
杉山:そうそう。太陽の動きってさ、実は一定の速度ではなくて、振り子みたいに動いているの。日の出日の入りの位置も季節とともに動いてるわけだけど、振り子の動きみたくスピードが一定じゃないんだ。
端っこに行くにつれてゆっくりになって、ほぼ動かず止まるタイミングがある。それが「ソルスティス」夏至・冬至。「太陽が静止する」っていう意味を表す言葉になってる。だから、夏至冬至っていうのはあんまり体感的な変化を感じにくいわけよ。
渋谷・カム:へえ面白い!!
杉山:一方で、その真ん中の時期、つまり春分秋分の頃はものすごくスピードが早いわけ。「秋の日はつるべ落とし」っていう言葉があるけど、今はその反対で日がぐんぐん伸びてる。
渋谷:体感と時計のずれが大きくて「もうこんな時間?」みたいに感じたり、明るいからまだ早いと思ってたら夕方だったなんてことってあるじゃない。

カム:あるある。
杉山:でも、日常の会話でもなんか日が伸びたねとか、急に日暮が早くなったねっていうのは、やっぱりある時期だけなんだよね。ここは結構みんな体感してるんじゃないかな。
カム:面白いね!春分でスピードが速くなって、夏至あたりでゆっくりになる。
杉山:そうそう。で、その変化量がどんどん少なくなって、まるで止まってる感じな時期が夏至。
カム:振り子で考えたら、戻るから止まるって感覚が体感的にもすごくしっくりくる。
杉山:一旦止まって反対の極に戻ってるんだけど、なかなか変化してないっていうかさ。
例えるなら、大型客船が舵切ってんだけど、180度回転するのにすごく時間がかかっている感じで、変化も一回止まっちゃったように見える。
変化量が早い春分をつかまえるって難しいんだよ実際。僕ら日本人は春分の日を起点に一年を考えている民族で、文化性が高いってことなんだ。

なんか急に日が伸びたな、気づいたら日が短くなった、というのは気のせいではなかったんですね。実際に、1日の変化量も大きかったというのはびっくりしつつとても納得でした。
変化の大きな春分秋分。始まりと実りの季節には催し物もたくさんですよね。今ここに意識をおきながら、そのスピードに乗って進んでいく上でも、時間を円感覚で捉え空間的にも”当たり”をつけていくことが鍵になる気がしました。
宇宙空間の中を、他の惑星とともに螺旋状に動き続ける私たち地球号。その大きな動きの中で、今という時間を感覚的に掴んでいくことは、現代生活を生きる上で大切なことのように思います。

次回、私たちの主食であるお米。稲とお日様の関係について、とても興味深かったお話をご紹介させていただきます。
杉山 開知(すぎやま かいち)

地球暦考案者 / 静岡市在住
2004年から本格的に古代の暦の伝承と天体を学び、2007年 太陽系を1兆分の1に縮尺した『太陽系時空間地図 』を考案し地球暦と名付ける。天文、農業、教育など多分野の研究者。日本暦学会会員。
渋谷 恵(しぶや めぐみ)

明治学院大学心理学部教育発達学教授
比較・国際教育学とホリスティック教育の研究・実践を重ねている。共著に『多文化社会に応える地球市民教育』(ミネルヴァ書房)、『多様性を再考するーマジョリティに向けた多文化教育』(上智大学出版)など。港区国際交流協会代表理事や文部科学省外国人児童生徒教育アドバイザーとして、学校や地域での多文化共生の実践にも携わる。
「自分とつながる・人とつながる・世界(宇宙)とつながる」というテーマを軸に、地球暦の視点を教育や生涯学習に取り入れる「学校地球暦プロジェクト」や「わたしの地球暦クエスト」を展開する一方、OHカード・ジャパン代表としてメタファーカード(OHカード)を使った探求と共有の場づくりなどにも力を注ぐ。Dayaとの共著に「OHカードから広がる世界 歩き方ガイドブック」。
