稲が陽の光に反応して育つというお話から、1日の中でも午前と午後では光の働きが異なるという話へと展開していきました。北海道十勝にある、共働学舎新得農場の宮嶋さんに伺ったお話がとても興味深いのでご紹介します。
こちらの記事も一緒に読んでいただくと、より理解が深まると思います。

2025年3月、明治学院大学で開催した学校地球暦研究会「◯クエスト」にて、地球暦考案者の杉山開知さんと&明治学院大学の渋谷恵さんとお話した内容をもとにした記事です。

いのちの奇跡 メタサイエンス

渋谷:日光といえば、、北海道にある協働学舎新得農場の宮嶋望さんのお話聞きに行った時に、午前中の青い光では光合成のため、午後からのオレンジの光は貯蔵のためと教えてもらったよね。

午前中の光がないと、いくら日が照っていてもトマトは育っていかないっていう。そういった自然の変化のポイントが1年でいうと夏至にあって、その前と後では科学レベルで全然違う。

宮嶋さんのお話し、すごい科学だったよね。午前の光と午後の光の長さ、スペクトラム。どの光にどんな作用があるとか。

言われてみれば、日が当たればいいというものではないだな、ということは経験として思うんだけど。それって光の波長の問題だったの!?って。すごく面白かった。すごい。科学。

カム:まさにメタサイエンスだね。

宮嶋さんはチーズづくりされているじゃない?発酵だから微生物たちの働きなんだけれど、宮嶋さんも微生物たちは光で動いてるんだって話をされてた。

それこそ。立春で春が始まるところで、やっぱり微生物が変わってくるから、微生物の働きの変化に応じて、全体の調整をしていくんだみたいな話だった。僕らも微生物の働きで生きてるよね。だから光の変化で何らか変わっていることは間違いないよね。

日照の変化と、春分秋分・夏至冬至での変化量の違い、稲を代表する短日植物と生育の関係。地域ごとに記録を残していくことの意味など、多岐に渡った会話でしたが、私たちが普段漠然と感じながら過ごしていることが、実はその背景に理由や自然の働きがあったのだと思うと、本当に面白いと思いました。

そして、何気なく通り過ぎている季節の中で、日の光と連動して私たちの内側にも変化が起きていることに意識を向けていくと感じ方が全然変わってくる気がします。ぜひその変化に意識的になってみませんか?

地球暦トーク連載シリーズ、今回はここまでとなります。また次回の機会をどうぞお楽しみに。

杉山 開知(すぎやま かいち)

地球暦考案者 / 静岡市在住

2004年から本格的に古代の暦の伝承と天体を学び、2007年 太陽系を1兆分の1に縮尺した『太陽系時空間地図 』を考案し地球暦と名付ける。天文、農業、教育など多分野の研究者。日本暦学会会員。

渋谷 恵(しぶや めぐみ)

明治学院大学心理学部教育発達学教授

比較・国際教育学とホリスティック教育の研究・実践を重ねている。共著に『多文化社会に応える地球市民教育』(ミネルヴァ書房)、『多様性を再考するーマジョリティに向けた多文化教育』(上智大学出版)など。港区国際交流協会代表理事や文部科学省外国人児童生徒教育アドバイザーとして、学校や地域での多文化共生の実践にも携わる。

「自分とつながる・人とつながる・世界(宇宙)とつながる」というテーマを軸に、地球暦の視点を教育や生涯学習に取り入れる「学校地球暦プロジェクト」や「わたしの地球暦クエスト」を展開する一方、OHカード・ジャパン代表としてメタファーカード(OHカード)を使った探求と共有の場づくりなどにも力を注ぐ。Dayaとの共著に「OHカードから広がる世界 歩き方ガイドブック」。

おすすめの記事