
『手しごと』ウエルビーイング 連載第七回 キッチン常備薬②〜味噌後編:味噌と感性〜
こんにちは、『手しごと』ウエルビーイングのナビゲーター冨田貴史です。 13回連載シリーズも折り返し地点を迎えました。引き続き、ゆったりお付き合いいただけましたら幸いです。
今回はこのような美味しそうな写真から始めましょう。

宝塚にある「台所アル」を営む長尾日佐恵さんによる「最近作ったお雑煮」です。
僕はこの台所アルで日本の暦と養生法についてのお話会をしたり、コラボしてご飯+お話のイベントをやったりしています。このお雑煮は白味噌仕立てだそうです。彼女の実家は宮崎なので、新年には宮崎でおすまし風の雑煮を作って、関西では白味噌仕立てでつくるそうです。
お雑煮も全国各地いろいろな種類があります。お餅も丸かったり四角かったり。もともとのお雑煮は、神棚に捧げた鏡餅のお下がりを使うもの。元旦から数えて11日目に、神様に捧げた供物のお下がりとしてお餅を頂いて、家族や親戚、ご近所さんと分け合って、同じく神棚に捧げていたお野菜たちと合わせて炊いたものがお雑煮の起源です。
ちなみにこの神様=歳神様とは、ご先祖様方を指します。神様、ご先祖さまたちと同じものを、皆で分け合って、食卓を囲んで食べる。「お雑煮パーティをする」という具体的な行為を通じて、自分と神(目に見えない存在たち)と、自分の身の回りの人たちと、どんな関係性を作っていくかという価値観を育んでいたんだな、と感じます。所作、作法、行為、って大事ですね。
そして日本の暦(和暦、旧暦)でみると、今は年の瀬です。大晦日が西暦1月28日、元旦が1月29日です。ということは、今はちょうど大掃除キャンペーンの時期。これも、心身のウェルビーイングを育てる、大事な手しごと。西暦の年末にしきれなかった、手の届かなかったところを取り組み直すチャンスでもありますね。
みそを作り始めたきっかけ
さて、前回は、みそ汁やみそ湯のたしなみ方を中心にした記事を書きました。その理由は、「みそのつくり方」のようなテーマから書き始めてしまうと、読んでいる誰かにとってはその事自体が「ハードル」のように感じられてしまうかもしれないなと思ったからです。
みそをつくったことがない方も気後れしないで読める記事を目指したいですし「今の自分がそのまま許されていること」はとても重要なことだと思っています。それならまずは、みそそのものの味わい方や効能とかの話から入るのがいいかな、と思ったのです。
「当たり前の存在のようだったけど、みそってありがたいな」とか「みそっていろんな楽しみ方ができるんだな」という気持ちになっていただけたらとてもうれしいです。そして、そんな明るい気持ちから「作ってみたいな」ってなるのが自然な流れなのかな、と思っているということですね。実際、僕が「みそ、おもしろい!」ってなったきっかけは、そういうところにあります。
僕がみそを作り始めたきっかけは、2010年に、現在「いかりみそ」を営むいかりてつやくんと出会ったことです。

当時、神奈川県の三浦半島にある農家さんで環境をテーマにしたイベントを開催していた時のことです。イベントの途中で保温ポットと湯呑みと、10種類くらいの味噌を持って現れたのがてっちゃんこと、いかりてつやくんでした。
てっちゃんは、そこにあったテーブルの上に沸かしたお湯を入れた保温ポットを置いて、人数分の湯呑みを並べて、その前に、発酵期間の長い米みそ、短い米みそ、糀が多めの米みそ、玄米みそ、糀の多めの麦みそ、それよりは糀が少ない麦みそといった感じで、熟成期間や糀の量の違う米みそ、玄米みそ、麦みそを並べて「自由に食べてみてください。よかったら湯呑みに味噌を入れて、お湯にといて飲んでみてください」と言いました。そこからその場は、さながらドリンクバーのようになり、僕もイベント中に何度もそのテーブルを訪ねてはいろいろな味噌をお湯にといて飲んでいました。
そこで感じたことは、
⚫︎みそはお湯をといて飲むだけでいいんだ。
⚫︎こんなにいろんなみそがあるんだ。
⚫︎みその濃さも気楽に調整すればいいんだ。
⚫︎色々ブレンドもできるんだ。
⚫︎なんて手軽でうまいんだ。
といったことです。
そんな色んな気持ちが生まれたことで、「このうまいみそを、自分でもつくれるって?じゃあつくってみたい」となったわけです。僕は今でも、この順番を大事にしたいと思っています。僕がみそづくり体験の場をつくるときも、そのことをとても意識しています。
例えば、冨貴工房でみそづくりワークショップをやるときは、まず午前中に色んな味噌をたべてもらいます。鈴鹿の豆味噌、八丁味噌、麦味噌、何人かのつくり手による米味噌、工房で作った熟成の進んだ味噌、熟成の進む前の味噌、などなど。これらをつまんで食べたり、お湯に溶いて飲んだりしてもらいながら、味噌の話をします。
この時間を「ききみそ」とか呼んでます。利き酒という言葉がありますが、みその場合は、みそがどう効くかを知ったり、みそと向き合って自分が感じていることを聞いたり、というような意味合いも含まれている気がします。
そして、昼に皆でみそ汁を食べます。僕がつくるみそ汁は、たいてい具沢山で、おかずのようなみそ汁にすることが多いです。そして、おなかがこなれたら、食べて眠くなってしまう前に、実際に皆で味噌をつくります。味噌をつくる前にこうやって、いわば「味噌をつくるためのモチベ」をつくっておくと、体もよく動きます。
そして同時に、味噌をつくりたいというモチベを持った人たち同士の「共同作業しやすい関係性」をつくってもいます。初対面同士の人たちも、午前中に一緒に味噌を楽しんで、なんなら同じ菌をおなかに入れておなかでつながって、一緒に昼食の準備をして、食べながら談笑して、片付けも一緒にやった後なので、みそづくりをするときには、来た時よりもリラックスしているし、隣の人との心の距離感もだいぶ縮まっています。そうすると、みそづくりの時間を進行する身としても、だいぶ楽です。
味噌を食べて、味噌汁を飲んで「みそをつくれるからだをつくる」ことをして、同時に「みそをつくれる関係性をつくる」をして、それから「みそをつくる」みたいなかんじです。
以下の写真は、島根県の津和野にあるレストラン「糧」でみそづくりをしたときのものです。


このときは、8種類の味噌を用意して、食べてもらいました。大豆を茹でながら、ききみそタイム。


大豆の茹で具合をみんなで見ながら、味噌の効能のお話をしたり、味噌湯を飲んだり。そして、大きなたらいにみんなで手を入れて、味噌を仕込みました。
このあたりで「僕が普段どんな分量でみそを作っているか」ということについて具体的に書いてみます。例えば昨日、1月14日には冨貴工房で、こんな材料で作りました。
みそのレシピ
米糀:いかりみそ 神奈川県厚木 12キロ
大豆:在来種 ふくゆたか 佐賀県産 6キロ
海塩:天日釜炊き塩 ベトナムのカンホア地方の天日釜炊き自然塩 2.4キロ
短く書くと、
米糀:12キロ
大豆:6キロ
海塩:2.4キロ
です。ちなみに大豆は前日から浸水します。そうすると、2倍ちょっとに膨らみます。なので、当日にはこうなっています。
米糀:12キロ
大豆:12キロ
海塩:2.4キロ
ここに実際は「大豆の茹で汁」を適量足すので、だいたい27キロくらいのみそができます。

⚫︎糀歩合
僕は、乾燥した大豆の2倍の量の米糀を使います。これを「糀歩合二十割」と言います。これは、だいぶ糀が多い配合と言えます。
⚫︎塩分濃度
そして、米糀と茹で大豆を合わせた量のちょうど10分の1の海塩を入れています。これによって、塩分濃度は約9%くらいになります。これは、だいぶ塩が少なめの配合と言えます。この割合は、前述のてっちゃんから2010年に教わったもので、僕の中では「自分的、黄金比」です。たまに配合バランスを変えることはありますが、多くの場合この感じでやっています。その意図は色々ありますが、たとえばこんな感じです。
・塩分濃度が低いことで、みそ汁に入れても、手で摘んで食べても、しょっぱすぎない。
・糀の割合いが多いことで、子どもでも食べたいと思ってくれる事が多い。
・酒のつまみとしてもうまい
・お湯にとくだけでうまい
・今まであんまり味噌を食べていなかった人の食卓に上がりやすくなる
そして、材料を手配する際と作業する際に、頭の中で計算がしやすくて、楽なんです。乾燥大豆は、糀の半分の量を仕入れればいい。塩は、茹でた大豆と糀を足した量の10分の1入れればいい。そうすれば、常にこの配合バランスをキープできます。
ちなみに、僕がみそ作りを始めたきっかけは「放射能対策」だったりするので、今までみそを食べていなかったような子どもや大人が、美味しく楽しくみそに出会えることを狙っています。そのための甘さとか、しょっぱすぎない感じの配合なのであって、いろんな配合バランスのみそがあっていいと思っています。
そして実際のところ、工房や我が家の食卓には、いろんな味噌が並んでいます。もちろん買ったりもします。とにかく僕は、手を変え品を変え、色んな場所で、色んな時にみそづくりをしてきました。冨貴工房でも、以前は夜にやったりもしてました。
「3ヶ月に一回、飲みに行く時間とお金を持ってきてくれたら、楽しくみそをつくって、帰りには仕込んだ味噌をお土産に持って家に帰れる」とか言ってやってましたね。今は小さい子供が家にいるので、夜は仕事しないようにしていますが。
味噌奉行
さて。前回の記事で「味噌奉行はコミュニティに1人いればいいんじゃないかな」みたいなことを書きました。そして、味噌奉行、または味噌ファシリテーターには、いろいろなタイプが居ていいと思います。それぞれの意図、モチベ、狙い、センスが多様なかたちで発揮されているのが、素敵な味噌生態系のあり方じゃないかな、と思っています。
そう思う一方で、身の回りにみそづくりをやっている場があるかというと、ない場合がほとんどなんじゃないかな、とも思います。そういった場合は、やっぱり、家で仕込むことになりますよね。だから、僕は、前回紹介した、のどかさんの以下の言葉を、もう一度ここに出しておきたいなと思います。

(手軽さという意味では)スモールポーションでできるみそ、っていうのもいいな。簡単にできるみたいな、ちょっとの作業でできちゃう、みたいな話も一緒に盛り込まれていると嬉しいかな。
「なんなら(豆の)水煮でもできちゃうんだよ」っていう本があって。豆の水煮の缶詰めから作るの。「えー」みたいに思ったけど、そういうのもありなんだな、と思ったりして。それはちょっと極端かもしれないけど、なんかそのくらいでできるんだっていう感覚の、「入口のハードル」を下げる何かがあるといいな。
僕はその著者さんのセンス、とても好きです。僕が東京世田谷のシェアハウス(ジャムハウス)に頻繁に滞在していた頃に、そういう話で盛り上がった時期があります。それはこんな話です。
2段式の弁当箱の下の段に茹でた大豆を入れて、上の段に米糀を入れて、塩を小瓶に入れて、2人でカフェに行こう。カフェのテーブルでさり気なく、おしゃべりしながら、珈琲飲みながら、指で大豆つぶして、糀と塩を混ぜて、味噌仕込んじゃおうっていう。その様子をスマホで撮って、配信しよう、と。
無許可で店内でみそをつくっちゃうという感じで「ゲリラ味噌」とか言ってましたね。こういうアイデアが出た意図は、のどかさんの提案とつながるものだと思っています。ハードルを下げたいってことですね。実際は、この話を持ちかけてくれた友人が、フィリピンでシェアハウスを立ち上げることになって、たち消えてしまいましたが。
ということで話は戻りますが、自分が冨貴工房をやっていたこともあって、「僕がみそ奉行になって、人を集めて、みんなでつくるスタイル」に立ち戻って今に至っています。でも、当時から感じている「まずは味噌を食べてほしい」「味噌を楽しむことのハードルをとことん下げたい」「そのうえで、味噌をつくること自体のハードルを下げたい」という思いは変わらないです。
味噌汁の出てくるタイミング
さて。ここまでは「人生の中でみそに出会うタイミング」を仕掛けていきたい、といったような話でした。そして、ここからは「一日の中でみそに出会うタイミング」についてのお話をしてみたいと思います。
いろんなみそとの付き合い方があるよね、という話の流れの中で、のどかさんから「みそのタイミング」に関する話が出てきました。

子どもが通っていた保育園の園長先生が「味噌汁から食卓に出す」っていうことを言っていて。最初に味噌汁を完食してから次のものは出してよしっていう。保育園の方針で、我が家ではとにかく食べ始めは味噌汁から。
園長先生の話では、最初にお米を出すとお米から食べちゃうので、最初に味噌汁から出して、 野菜と味噌を取って、あとおかずとご飯っていう流れ。
そして、お味噌汁はお野菜を入れた具沢山なもの。おかげでほとんどのお野菜を食べられるようになってる。
僕とてもよくわかります。
ご飯って、噛んでると糖に変わるんですけど、糖を先に取りすぎると他のものに手が伸びにくくなったりもするんですよね。実際、無自覚なところもありますが、僕もイベントなどを開催する時に、味噌をテーブルにズラッと並べたり、どーんとでかい鍋でみそ汁を作っておく、ということが多いです。それは、海外でも日本でも一緒ですね。
なので、そうなるとイベント会場の一角に、ずっとみそ汁やみそ湯の香りが漂っていることになります。それが引力になって、必然的に「ウェルカムドリンクはみそ汁かみそ湯」ということになります。つまり、会場に来てまず口にするものは味噌、ということになるわけです。これは、とても嬉しいことですね。みそオタクにとっては。


放射能から子どもたちを守ることを目的とした保養イベント「風フェス」では、昼過ぎくらいから、100人分くらいの夕ご飯をつくっています。「風フェス」は、新潟県の阿賀野の山の中で、年に2回開催されています。写真右はみそ汁、左は豆乳仕立てのごぼうのスープ。味付けは白味噌を使っています。
こうやってスープが2種類あると、相乗効果で、子どもたちも「どっちかは飲む」とか「結局どっちも飲む」みたいになってくれたりします。
*保養という言葉の説明は、「保養をすすめる関西ネットワーク 保養とは?」のページがわかりやすいです。
朝みそしてる?
みその働きの一つに「事前消化」というものがあります。これは「食べる前に、食物を消化する」という意味です。例えば魚を味噌に漬けておくと、魚のタンパク質は味噌の中の微生物の働きによって分解されて、アミノ酸に変容します。でんぷん質も例えばコウジカビが分解して糖を作って、さらにそこから乳酸菌や酵母の働きによってグリコーゲンに変わったりします。脂肪分も、みその中に漬け込むと分解が進んで、短鎖脂肪酸に変換されて腸内環境を整えてくれます。
こうやって、体内の消化酵素がやっている仕事を、味噌などの発酵食品の中の微生物たちがやってくれているんですね。これが事前消化です。そして、食事の始まりは、いわば「断食明け」です。そのタイミングで、最初に体内に取り入れるものは「消化をサポートするようなもの」であり「すでに消化が始まっているもの」がいいということですね。
ちなみに、就寝中にごはんを食べる人はいないと思います。唐突ですが、それは当然ですよね。寝ているんですから。ですがこのことを、本当に深く実感しているでしょうか。
こんな話があります。パーマカルチャーや非暴力コミュニケーションの実践の場をつくる活動をしている、ソーヤー海という友人がいます。


ソーヤー海とはとても仲良しで、シェアハウスや野外や、参議院議員会館地下会議室や、明治学院大学のカフェテリアスペースなど、いろいろな面白い場所で一緒にみそづくりをしています。これは、アースデイ永田町というイベントで、参議院議員会館で味噌を仕込んだときの様子。
※このときの詳しいレポートは、ソーヤー海のGreenzでの連載記事の中にあります。
「 参議院議員会館でアースデイを実現!〜政治に善玉菌を広げていく」
彼が、以前暮らしていたカリフォルニアのブロンクスにあるパーマカルチャーセンターに滞在していた時に「お前は朝みそをしてるか?」と、いきなり言われて、海が「いや。なにそれ。知らないよ」と答えたら「お前は日本人なのに朝みそも知らないのか」みたいに言われたそうです。
「朝ご飯のことをブレイク・ファストっていうだろ。ファストは断食のことだろ。その断食をブレイクするって意味で、朝の一口目は、断食明けの一口ってことなんだ。断食明けには、まず腸内細菌のために味噌汁から入るのがいいんだ。だから俺は毎朝、このマグカップで必ず朝みそをしてるんだよ」って言われて。それから、海は毎朝、朝みそをするようになったそうです。
海はよく「それまでは朝は紅茶スタートだったんだけど、それからはずっと朝みそをしてから紅茶を飲む、みたいになって調子がいい」って言っています。やっぱり腸内環境のために最初に入れるものとして、味噌、 味噌汁が適しているっていうことなんですね。
ちなみに僕も10年以上、朝みそしてます。
AI君もそういっている

今、「朝に味噌汁を食べると睡眠の質を高める効果が期待できます。」っていうGoogleAIくんの回答が。
Google AIがアドバイス
-
朝に味噌汁を食べると睡眠の質は高まる?
-
はい、朝に味噌汁を食べると睡眠の質を高める効果が期待できます。
味噌汁には、睡眠ホルモンのメラトニンの素となるトリプトファンが豊富に含まれています。トリプトファンは14時間前後でメラトニンに変化するため、朝食で味噌汁を摂取することで、夜までに十分な量のメラトニンが生成され、睡眠の質が高まります。
また、味噌汁には、身体に欠かせない水分や必須アミノ酸、ブドウ糖、ナトリウムやカリウムなどの微量栄養素が含まれています。朝は水分や栄養素が枯渇している状態なので、味噌汁を飲むことで枯渇した栄養素を補給できます。
さらに、食事による咀嚼や消化器官への刺激で目が覚めやすくなり、睡眠と覚醒のリズムにメリハリが生まれます。
※GoogleAIくん、試験運用中ってことですがそのまま載せます。
いいですね〜。カリフォルニアのパーマカルチャーセンターと、多分カリフォルニアで開発されたAIからのメッセージ。朝みそ、グローバルに広がりそうですね。
僕も、2018年につくった『いのちとみそ』というブックレットの中で、朝みそについて書いたので、その文章を貼ってみます。
<朝みそ / みそ湯>
アメリカ西海岸ワシントン州コーカス島に、生態系の一員として調和して生きるための様々な実践を続けている「ブロックス・パーマカルチャー・ホームステッド」があります。この場所の運営に関わるメンバーのジョンは、健康管理のための取り組みとして「みそ湯」による「朝みそ」の習慣を実践し続けている。
彼は、朝起きてから最初に体に取り入れるものを、味噌をお湯に溶いたみそ湯にすることを、朝みそと呼んでいる。体の浄化や老廃物の排泄の盛んな朝の時間にみそ湯でおなかを温め、腸内細菌の働きを助けることで、健やかに一日を始められるという。
世界中から訪ねてくる人たちに「朝みそはしているか?」と尋ねながらみそ湯を振る舞うジョンの影響が広まり、今では世界各地で「みそ湯」と「朝みそ」をたしなむ人の輪が広がっている。
携帯するみそについて

(ここで話題に出たことがきっかけで)結構朝みそ、意識的にやってるんですよね。寒くなってきたこともあって、朝出かける時に、珈琲に変わって梅醤番茶を持って出るようになってきたのですが、そこに味噌を入れて。味噌を携帯して外に出てくみたいな。
味噌って戦国時代も、味噌を携帯してたっていう話、そんな話をどっかで読んだことがあった気がするのですが、どうでしたか?
味噌を干したり焼いたりして持ち歩くっていうことは、旅人の携帯食として普通にあったらしいんですが、戦国時代になると、ある程度の人数が一緒に動くことになりますよね。しかも、味噌の好みって地域性があるから、遠征先で味噌を調達しても口に合わないってことが結構あったようです。
ちなみに、映画とか漫画とかにもなっていて名が知れている武将でもある伊達政宗は、そのへんのことをすごく考えていた人で、地域の人達が食べるために味噌を作れる設備を作って、そこに職人家族が暮らせるシェアハウスみたいなものを作ったりもしてました。
そして、豊臣秀吉の命で全国の武将たちが朝鮮出兵に駆り出されたということがありましたが、その時、各地の味噌がのきなみ、気候風土の違いによって劣化してしまったのですが、仙台藩の味噌は品質が落ちなかったそうです。ということで、他の藩から来ていた兵隊たちに、この味噌を分けてあげていたそうですよ。仙台みそが全国的に知られるようになったきっかけは、この朝鮮出兵だったと言われています。
長く愛されてきたみそ

そして、味噌がずっと長い間食べ続けられてきてるっていうこと、食され続けているっていうこと。
加えて全国的にいろんな味噌がある。豆味噌だったり、麦味噌だったり、 米味噌だったり、いろんな味噌があって。さらに赤味噌、白味噌、黒味噌、 いろんなバリエーションがあって、それぞれの特殊性があって。八丁味噌だったり、なんだかんだと。
そうですね。みそは本当にいろんな名前のものがあります。全国各地、多種多様です。前回、材料の違いによる3種類の味噌の整理をしてみましたが、もう一回載せときますね。「この分類について、意外と知られていない」ってことも感じるのでリマインドです。
- 米みそ 大豆+米こうじ+塩=米みそ。米みそは最もポピュラー。こうじの割合や塩加減、熟成期間などによって甘い味噌、辛い味噌、白い味噌、赤い味噌などができあがる。
- 麦みそ 大豆+麦こうじ+塩=麦みそ。大豆に、大麦に糀をつけた「麦こうじ」をあわせてつくる麦みそは、地域性の強い味噌。主な産地は、九州、四国、沖縄、瀬戸内などで「田舎みそ」とも呼ばれている。
- 豆みそ 大豆に糀をつけた「豆こうじ」に塩と水を混ぜ込んで長期間寝かせてつくる豆みそは、味噌のルーツとも言われている。蒸した大豆にコウジカビをつけて豆こうじにし、塩と水を加えて大きな木桶に仕込み、三年以上寝かせる長期熟成の豆味噌造りは、愛知、三重、岐阜などで続けられている。
そして、全国各地にめちゃくちゃたくさんの味噌があるわけですが、ざっくり言うと全国的に米みそが多く、西日本に麦みそが多く、東海地方に豆みそが多いという感じがあります。物流網が太くなる前の江戸時代までは、今以上に地域の特性が濃かったでしょうね。
僕は「みそ健康づくり委員会」が作っている全国みそマップの大判ポスターを家と冨貴工房に貼っていたくらいのみそオタクですが、このマップがウェブ上にもアップされたので、ご案内します。
みそ健康づくり委員会 みそ資料館 各地のみそ
僕もいろんな書物を読みながら、各地の味噌リストみたいなものを編集し続けているので、以下にそれもシェアしますね。
日本各地のみそ
- 北海道味噌(米みそ) 古くから佐渡や新潟との交流が盛んだったせいか、佐渡味噌に近い赤色系の中辛みそが代表的。温和な風味が特徴。
- 佐渡味噌(米みそ) 佐渡で採れる良質の米を麹として用いた長期熟成型の味噌。さわやかな発酵香があり、塩なれがよく、味にコクがある。室町時代、上杉謙信が兵糧としたのが始まりと言われる。佐渡は九州と北海道を結ぶ航路の寄港地のため、北海道から帆船で大豆を運んで製造し、江差や松前(それぞれ北海道の地名)に積み出したと言われる。
- 仙台味噌(米みそ) 色は濃い目、味は辛めが特徴。伊達政宗が専門家を呼び寄せ、遠征のための携帯食として醸造させたのが始まりと言われている。そのため、貯蔵しやすい辛めの味噌になったのだろう。熟成期間は長めなので色は濃く、芳香があり、米からの甘みと塩味がよく調和し、のびもきく。
- 江戸甘味噌(米みそ) 大豆をよく炊き込んであり、光沢のあるべっこう色。麹の甘い香りと大豆の香ばしさが融和した独特のまろやかな風味が特徴。戦時中の原料不足によって姿を消し、現在は1~2の醸造元が残っているだけになっている。
- 八丁味噌(豆みそ) 今から600年あまり前、三河国額田郡八丁村で造り始められた。当時は三河武士に愛用され、やがて家康が江戸城に入ってからは三州味噌と呼ばれて、江戸でも珍重され、東海道に面した地の利から参勤交代の大名らが土産として各地に伝えたといわれる。濃い赤褐色で独特の香り、濃厚な旨味にわずかな苦み、渋みも持つ個性の強い味噌である。
- 鈴鹿粒味噌(豆みそ) お伊勢参りが盛んだったころから旅の携帯食としても重宝された、伊勢街道の途中にある鈴鹿で作られてきた豆味噌。三百年続く味噌蔵である東海醸造では、雑味を取るために多くの豆味噌蔵で行われている濾過をしないため、粒がゴロゴロしたままで、チロシンというアミノ酸の結晶や希少なミネラル分を摂取することが出来る。
- 瀬戸内麦味噌(麦みそ) 瀬戸内海をはさんで、愛媛、山口、広島周辺の地域は、米味噌圏と麦味噌圏が交差するところである。中でも愛媛の麦味噌は麦麹の割合が高く、大豆を使わず麦だけを原料とした味噌も作られている。麦独特の芳香を有し、さらっとした甘みが特徴。
- 薩摩味噌(麦みそ) 九州では「白」と呼ばれている。麦麹を大豆の1.5~2.5倍使用し、塩分は9~11%で、麦みその中でも比較的短期間で作られる。黄白色で、麦麹の香りが高く、こうじ粒が残っているのが特徴。さつま汁づくりには欠かせない。
体感、つかめる力

この食べ続けられてることのすごさと、作り続けられてることのすごさと、もちろん、おいしいからっていうのもあったんだろうけど、なんか、なんだろう、それによる、さっきのaiくんが言ってる目覚めの良さとかっていうのは、体感的に、実は知ってたのかなっていうか、大事にされてきたんだろうな。
僕らは、ai君が言ってるから、そうなんだみたいな。ai君がどこそこから、そういう風な話をまとめてくれてるんだと思うんだけど。科学的に研究の結果知るっていうのは現代はできるけど、そういうことが解明される前から、ずっと使い続けてる、作り続けてる、この不思議さっていうか。
それを掴める力。それを掴んで使い続ける力っていうか、そういう力を改めて、この味噌を食べている不思議な民族の力として、獲得していきたい。
獲得したいというか、そもそも持ってるから、それをしっかり育てていきたいというか、 もう一度思い出していきたいというか、改めて自分のものにしていきたいですね。
とても共感します。
僕が仲間たちと運営しているコモンスペース・ハナヤでは、「フロシキ古本市」というイベントを、年に4回開催しています。このイベントには、八王子の高尾山のふもとで古書店「げんせん舘」を営みながら、全国をまわって環境活動をしている坂田昌子さんに来てもらって、本をテーマにした座談会を開いています。
そして、2022年の冬に行ったフロシキ古本市では、「本が育む食文化」をテーマにお話をしていただきました。このお話の中で、以前は料理本の中に「何を何グラム入れる」とか「何分茹でる」といった細かいレシピは載っていないという話が出てきます。そういった表記は、戦後になって、システマチックなキッチンと調理器具が登場するようになってからのことなんですね。
それまでは、いわゆる「いい塩梅」って言葉に象徴されるように、それぞれが、ある程度自分たちの感性で判断してきてたんでしょう。あとは、経験的な言い伝え、おばあちゃんや母からの実践的な伝達の積み重ねですよね。そこが、もしかしたら退化してきているのかもしれない。キッチン用品が進化するにつれ、僕達は退化しているのかもしれない。そういうことを坂田さんは言っています。
<本が育む食文化【前編】 坂田昌子@フロシキ古本市>
※Spotify、Appleポッドキャストにも番組が掲載されています。「本が育む食文化」で検索してみてください。
このことって、料理の仕方だけではなくて、「何がどこにどう効くか」といった効能の話についても一緒ですよね。
何がどう効くか、本当は体がよく知っている。または、知っている人たちが、伝えて、それを受け取って、また伝えていく。そういう感性の話を、アラタさんはしているんだと思います。
アラタさんからの話題提供を受けて思い浮かんだのは、坂田さんの言葉だけでなく、もっと古い言葉のいくつか。それは、例えばこういうものです。
みそにまつわる江戸時代のことば
⚫︎みそ汁一杯 三里の力
⚫︎みそ汁は 朝の毒消し
⚫︎みそ汁は 不老長寿の薬
⚫︎みそで飲む一杯、酒に毒はなし
「みそ汁を一杯飲めば、三里(=およそ11.78km)は走れるね」と飛脚さんたちが言っていたわけです。
「朝にみそ汁飲んでおくと 毒が消えるね」
「みそ汁飲んどくと 長生きするよね」
「酒のツマミは味噌にしておくと、毒がないね」
とか。その他にも味噌はタバコのず(すす、やに)を落とすとも言われていて、煙管の掃除に味噌を使っていたりします。それって、味噌の効きを、自分たちの感覚で掴んでいるってことだと思うんですよね。そして、その感覚をこうやって口にすることで、その力を受け継ぎ合っていける。とても素敵な味噌文化の伝来方法だと思います。
みそサイエンス
その一方で、みその効能について、かなり研究もされている感じがします。たとえば、江戸時代の後期に作られた食べ物の効能や作り方についてまとめた「本朝食鑑」にも、味噌について書いてある項目があります。僕は、もちろん現代語訳も読みますが、やっぱり原文を読むほうが、時間はかかっても深く入ってくるものがあるので、自分で訳してみてます。原文と、僕の訳を並べてみますね。
原文:補中益氣調脾胃滋心腎定吐止瀉強四肢烏鬚髪潤皮膚能収産後血暈敗血及趺撲損傷之血悶壮病後之羸衰老人小児倶好専解酒毒及鳥魚獣菜菌毒
たか訳:腹の調子を補って、元気を益(ま)して、消化して栄養を分配する力を調えて、血を作って循環させる力や、精を蓄える力を滋養して、吐き気をおさめて、下痢を止めて、足腰や腕や肩を強くして、髭や髪を黒くして、皮膚を潤して、産後の脳貧血や暈(めまい)を抑えて、血液が弱って停滞することによって起こる病を予防して、足の甲の負担を和らげて、足の裏の踏ん張る力を強めて、怪我をして傷から入ってくる毒や刺激による血の乱れを収めて、病みあがりの痩せ衰えに働きかけて、生命力の回復を促す。
老人、小児、それぞれに好(よ)い。
もっぱら、酒や鳥や魚や獣の肉や野菜や野草や菌類の毒を解する。
僕はこの、感性と科学のバランスが好きです。
感性と知性とも言えるかな。右脳と左脳とかも言いますよね。その2つの調和、融合、相互補完、インナーマリアージュ(内なる結婚)を大事にしたいと思っています。そんな話の流れの中で、僕が敬愛する、ある故人の言葉を紹介して、今回の記事を閉じたいと思います。
それは、マクロビオティックという概念と体系をまとめて、世界に広めた桜沢如一さんの直系の弟子であり、日本CI協会の元会長でもあった勝又靖彦さんの言葉です。
日本CI協会
日本CI協会は、1945年にマクロビオティックの創始者、桜沢如一により設立された「真生活協同組合」を母体とし、75年の歴史あるマクロビオティックの普及団体です。
「CI」は、フランス語の「Centre Ignoramus」の略で、桜沢如一がドイツの生理学者エミール・デュ・ボア=レーモンの言葉である「Ignoramus et ignorabimus(我々は知らない、知ることはないだろう)」からとった名称です。「無知なる者のセンター」とも訳され、「私たちが何も知らないことは謙虚に認めよう。だが、知ることは可能であると信じる。深く考えて探究していけば、私たちはすべてを知るであろう」というマクロビオティックの精神が込められています。
日本CI協会は、桜沢如一及び桜沢里真の精神を引き継ぎ、世界的なマクロビオティックの普及を目指す団体です。

勝又靖彦
1940年、静岡生まれ。
1963年日本CI協会に入会、桜沢先生のご指導をいただく。
1973年より塩問題に取組み、1998~2003年(株)天塩の社長を勤める。
2005年~2017年まで、日本CI協会会長、及び桜沢如一資料室室長を務め、マクロビオティックの普及に尽力する。2017年7月25日逝去、享年77歳。
勝又さんは「日本全国で塩炊きをしている若者がいる」という噂を聞きつけて、僕に連絡をくれたそうです。なんと偶然にも、僕が宮崎県宮崎市にある「天空カフェジール」というお店の本棚で勝又さんの著書を手にとって、読んでいた時に、パソコンのメールボックスを開いたら突然勝又さんからファーストコンタクトとなるメールが来ていたのです。
そして、そこからメールのやりとりをさせていただいているうちに「せっかくお会いするなら、対談をさせてもらって、その内容を記事にしましょう」という提案を頂いて、東京にある事務所をお訪ねして、3時間くらいお話をさせていただきました。
彼は「感性のマクロビオティック」という言葉を、すごく強調されていました。「自分たちは、マクロビオティックは感性で掴み取るものと伝えてるのだけど、どうしても伝言ゲームみたいになってしまって、マクロビオティックを知識で学ぼうとする人が多いということが気になっています」とか「今の時代は、感性が失われてしまっている」とか「実践、養生、体験、が大事」ということを言ってました。
僕も「そうっすよねー!僕もめっちゃそう思います!」とか言って、かなり話が盛り上がったことを覚えています。勝又さんは「なんだか友達ができた気分です」と言ってくれて、僕もかなり年上だけどマブダチになれる、って思って、はたから見ても「相思相愛ですね」と言ってもらっていたので、いつか一緒に塩炊きとかやりたかったんですけどね。
その機会は実現しませんでしたが、彼の言葉を、ちゃんと残したいと思うので、当時の対談の文字起こしはもうネット上に存在しないので、ちょっと長めですが、貼ってみたいと思います。自分の感性、自分の体験の大切さを思うと共に、先人たちの経験、言説といったものを、最大限の敬意を持って、大事に受け取っていきたいと思っているので。
読んでいただけると嬉しいです。では、またお会いしましょう!
以下『月刊マクロビオティック2015年11月号』(日本CI協会会長・勝又靖彦✕冨田貴史)より抜粋
かつて、当協会は先頭をきって塩運動を行いました。塩作りには様々な手法があったのですが「全てオリジナルで手作りのものでなければダメだ」と運動を起こしたのです。
当時、塩はタバコと同じで民間では作れませんでした。塩を作る許可を国から得るというのは、今まで誰もやったことがなかったのです。最初は天日塩を作ろうとしたのですが、日本で天日塩が作られた歴史はありません。湿気が多いので、天日だけでは塩にならないわけです。さらに、自然の塩が良いということの学理的な証拠は何もありませんでした。そのために市民の経済的基盤となる組織を作ったりもしました。やることなすこと全てが誰もやったことがないことばかりでしたが、それでもチャレンジをして色々な人に集まってもらったのです。
政治的運動をしようとする人、学理的に良い書を作ろうとしている人など、皆様々な考えの人が集まったので、これをまとめていくのがとても大変でした。そういう運動の歴史の中でやってきたことが、自分にとってとてもプラスになりました。現実を見てきたということですよね。だからこそ最終的には想像力、独創力がいかに大切かがよく分かるようになりました。
若い人たちには、知性的な知識・知恵というものと、感性的な知恵というものがあることを理解して欲しいですね。今の時代は知性ばかりが偏重されてしまって、感性はまるっきり評価されないという変な時代です。だからこそ、もう一度感性的な価値ということに立ち返えらなければならないと思います。
塩作りの当初はワークキャンプをしていました。鍋を持って海岸に行き、流れ着いた木をくべて海水を煮詰め、テントを張って寝泊りするのですが、そうこうしていると若者が集まってくるのです。いわゆる「類は友を呼ぶ」というのでしょうか、そういうものが口コミで広がってくれるのです。皆で炊いた玄米を食べながらキュウリに塩をつけて「やっぱりうまい!」なんて言いながら。そういう活動がとても大切ではないかなと思います。皆が想像力をかきたてられますし、マクロビオティックな感覚も理解してもらえます。
天然の塩が良いということは分かっていても、栄養学や分析学のトップの先生方は立場上公表できません。しかし「草の根運動を続けて世の中が変わってくれれば自分たちも発言できるようになっていく。そのときのためにも勉強していきたい。君たちの活動と自分たちが勉強していることは変わりないのだよ」と言ってくださったのです。その言葉を聞いたときはとても嬉しかったですね。当協会の役割というは草の根的です。そういった先生方がやりやすい環境を作ることも仕事のひとつかなとも思っています。
最近では、がんセンターで長く働いていた人や栄養学を研究していたトップの方が既成の知性的な健康観や栄養学ではもうダメだと理解しています。自主的健康観といったらいいのでしょうか。客観的なデータによる健康管理よりも、本人が自主的に感性で日々受け止めている健康観の方が正しいと言い始めています。
がんセンターに長く勤め、自分も肺がんになった人が、足に1・5㎏の重りをつけて歩いて「これで僕は健康なのだ」と言っています。別の方は「毎日車を使わないで都内を自転車で走っている」といいます。そういう時代になってきて、最前線の人は「やはり養生だよ」と言います。
要するに、病気になってからではダメだということです。病気を未然に防ぐ養生が大切だよと。だから学校教育の中にも、幼稚園から養生みたいなものを取り入れていった方がよいのではないでしょうか。
昔は生活そのものが養生になっていたから、病気になったら対症療法をやって元気になっていましたが、今のライフスタイルは免疫力や抵抗力の低下といった腸内細菌の状態とかを悪くするばかりです。治療の前に養生というものを一人ひとりが考えなければいけないと思います。
撮影:2016年(日本CI協会事務所前にて)
今回のオススメBOOK
- 『みそ文化誌』編集:みそ健康づくり委員会 発行:全国味噌工業協同組合連合会・中央味噌研究所
- 『味噌』編集・発行:秋田書房
- 『本朝食鑑 』著者:人見必大 発行:平凡社
- 『“陰陽の考え方"を身につけて直感力を高める』著者:勝又靖彦 発行:キラジェンヌ
冨田貴史(とみたたかふみ) プロフィール
1976年千葉生まれ。大阪中津にて味噌作りや草木染めを中心とした手仕事の作業所(冨貴工房)を営む。
ソニーミュージック~専門学校講師を経て、全国各地で和暦、食養生、手仕事などをテーマにしたワークショップを開催。著書『春夏秋冬 土用で暮らす』(2016年/主婦と生活社・共著)『いのちとみそ』(2018年 / 冨貴書房)『ウランとみそ汁』(2019年/同)、「未来につなげるしおの道」(2023年/同)など。