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デザイナーであり、アーティスト、そしてカムワッカの” みつばちハウス”、"ビーナちゃん"のデザインをしていただいた大滝氏。 インテリアデザイン・ヴィジュアルデザインに留まらず、流木を使ったオリジナルの器や花器、さらにモダンアートからイラストまで幅広く作品を生み出し続けられています。
「自然(nature)と伝統(tradition)から学び、生まれるデザインストーリー」を大切にされる大滝氏。 そんな大滝さんの理念と作品に魅せられて、様々なご協力を頂いているカムワッカとは縁の深い作家さんですが、改めて静岡県清水のアトリエにお伺いして大滝さんのモノ作りのお話を伺ってきました。

ー デザイナーになったきっかけは?

小さなころから絵が好きで、最初は絵描きになりたかったんです。
父親が宮大工の棟梁で現場によく出入りしていたし、兄や画家だった叔父から絵を教えてもらっていました。 常に大人が何かものを作り出すところを近くで見ていたことが大きかったと思います。
中学、高校の美術の恩師からも大きな影響を受けました。このころには「絵やデザインの仕事をしたい」とはっきり思っていましたね。
ただ大学進学のタイミングは1960年代の高度成長の時代で、化学にも興味があったので、実は最初に理工系の大学に入学したんですよ。
でも美術の世界が忘れられず、半年で中退して美術系の大学に入学し直したんです。

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ー 生活のデザイン

大学在学中はグラフィックデザインの勉強をしていたのですが、料理専門学校に通っていた今の奥さんと出会ったことで、お互いに刺激を与え合いながら「デザインを取り入れた”食”」など、それまでと違うアプローチでデザインを考え始めていました。今では一般的になりましたが、当時はまだ食とデザインについては、ほとんど考えられていなかったですね。
それらがきっかけで「生活のデザイン」ということを意識するようになりました。
大学卒業後、東京の広告代理店に2年程勤めて勤めていたのですが、故郷である静岡の工業技術センターの仕事の話があり、戻って来ました。
静岡工業技術センターでは地場産業の指導・デザイン・研究ということで、約10年間多くの家具や工業製品と関わってきました。
これらの家具や店舗デザインのつながりも「生活のデザイン」のコンセプトを推し進めるきっかけになりました。
その後、独立して今のアトリエを立ち上げたんです。


ー ”自然”というテーマとの出会い

「生活のデザイン」ということで、家具デザインや店舗デザインやグラフィック等の仕事を中心に行ってきたのですが、それらの作品をみた静岡伊勢丹の担当の方が”自然”をテーマにした展覧会をしたいとのことで声をかけて頂き、1989年6月に「木と石の形象」という展示を行いました。 この時に、小さな頃から親しんできた自然。中でも清水の海を散歩をして出会う”流木”たちを取り入れた作品を作りました。 この展示をきっかけに六本木のAXISギャラリーやOZONEなどでも自然をテーマにした展示を行い、それらの作品を制作する過程で、これまでの「生活のデザイン」に加えて「自然」というテーマが私にとって、あらためて大切になってきたのです。


ー 流木の魅力

自然というテーマをデザインを表現する上で、流木は私にとってシンボリックな素材です。
”森”で育った木が様々な道をたどって”海”へ。流木は、地球のエネルギーの中で時間をかけて、生まれ、浄化され、浜辺に流れ着いているのです。 海辺を歩いていると、その流木が”地球のエネルギー、環境問題・・・”など様々なことを語りかけてきてくれます。 それらの声に耳を傾けながら歩いていると、それらの中に不思議と「生活のものになる」声も聞こえてきます。 そんな流木を手にすると、自然に「器」「花入れ」「箸置き」「明かり」など、生活のものになるものに見えてきます。 それが「みたて」です。 そんな流木との一期一会の出会いと「みたて」の中から、私の流木の作品は生まれてきています。

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ー 人間の知恵を少し加える

流木は地球のエネルギーで作られていますが、それだけでは「生活のもの」はなりません。 ほんの少し人間の知恵を加えてあげることで、「生活のもの」になります。 その流木を、見つけること(みたて)、削ったり、漆(うるし)をぬったり少し手を加えてあげること。 そうすることで、流木が生活のものになってくるのです。


ー 伝統から学ぶこと。漆(うるし)のすばらしさ

自然と同様に、伝統から学ぶこともたくさんあります。特に漆(うるし)は、私の作品を作る上でとても重要なマテリアルです。 撥水性、防腐、そして美しさを兼ね備えた、世界一の塗料と思っています。 特に漆の美しさに関して言えば、他の塗料が”美しさを強調”するのに比べ、漆は素材の”本質を引き出す”力があるように思えます。 日本では、漆は縄文時代から使われていたと言われ、その長い歴史の中で様々な技術も発達してきました。 そんな長い伝統を持つ漆を、私はこれからも多くの人に大切にしていってもらいたいです。


ー 子ども達に伝えたいこと

今回、カムワッカとのコラボレーション製品「こんにち椀」でも流木と漆を使いました。 「鳥モビール(仮)」では、流木を鳥にする「みたて」の力が大切になっています。
私は、子ども達が、みんなアーティストになってほしいと思っています。 狭義のアーティストでなく、常に世界からインスピレーション受け、発信できる人になってもらいたいと思っています。 そんな子どもたちには、様々なメッセージがこもった、長く使えるモノを手にしてほしい。 子どもが成長の過程の中で、長く時間をかけて、様々な発見があるようなモノ。 そういった、多様なメッセージが籠ったものを、子ども達のために作りたいと思っています。


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●Ootaki Art & Design とカムワッカのコラボ商品

こんにち椀

ふわくるゆらら

こんにち椀 ふわくるゆらら
→商品詳細 →商品詳細


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大滝 正明舟(おおたき まさはるしゅう)

 商業デザインを学び、グラフィックデザイナーとして活動後、静岡県工業試験場工芸部の技師に転身。家具のデザインの巡回指導を通じて家具職人たちとのかかわりの後、工房を開き独立。多くのデザインプロジェクトに携わる一方で、家具、食器、花器等の個展活動も精力的に行っている。現在、女子美術大学講師、静岡県技術アドバイザー、三重県技術アドバイザー。「くみたち家具」と題する金具を使わず、楔(くさび)によって組み立てる栗の家具のシリーズは、その端正なたたずまいから、工房の定番品として愛用者多数。また、生まれ育った三保の海岸(静岡県)で集めた流木を素材として使った、自然、偶然のカタチを活かしたモノ作りを行い、2012年夏には、流木を使ったコンテンポラリーアート作家として、ギャラリー「古今」において個展「SOMETHINGLSE サムシングエルス 大滝正明舟展」を開催。
 2010年より、camwaccaのプロジェクトに参加。子どものためのプレイハウス「みつばちハウス」(キッズデザイン賞/グッドデザインぐんま受賞)のデザインを行う。また、みつばちハウスに付属する絵本「ビーナちゃんのみつばちハウス」の作者(ペンネーム:ほしはなあい)でもある。

■受賞歴
1991 グッドデザイン賞(富士かわら)
1992 再資源化事業通産大臣賞(ミラクルストーンズ)
1992 高岡クラフトコンペ入選
1993 静岡さいこうデザイン・入選(ミラクルストーンズ)
1994 富山プロダクトデザインコンペ デザイン賞
1995 第12回東急ハンズ大賞 入選
1996 静岡さいこうデザイン 造形賞(桜華月)
1997 静岡さいこうデザイン 造形賞(くみたちテーブル)
2007 高岡クラフトコンペ 入選
2011 キッズデザイン賞 入選(みつばちハウス)
2012 グッドデザインぐんま(みつばちハウス)


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