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art&designのある暮らしのノート

 第6回 「少しずつが好き(ステップ バイ ステップ)」 
「すこしずつ あゆむ のがすき 
   すこしずつこそ われゆくみちぞ」

道具

少しずつ段取りをする、少しずつ整理する、少しずつ仕事を進める。どうやら子どもの頃からのようです。

前回のコラムと同じ様に耳と身体のハンディから生まれた知恵かもしれません。

このコラムを書くにあたって、少しずつ書き留めては積み重ねる。少しずつ書き直しては組みたててゆく。のんびりという気質ではなく、過程を楽しむと言う習慣でしょうか。このように完了したコラムは、ようやく人並みに書けたという達成感があります。


こんにち椀

「好きこそ物の上手」という諺があります。「少しずつが好き」が上手になれば、後は平静な心になり、少しずつスムーズに進むことが出来るようになります。好きであれば、自立性が保たれると言われています。大切にしたい感覚ですね。

前回のコラムのテーマはリズム&シンプルでした。そこに少しずつと言う意味のステップバイステップが加われば、私の人生の生き方の三本柱と言うことになりそうです。

花

このコラムを書きながら発見した事実!思いがけないことです。
少しずつより、実績を築き上げる。それによって、大いなる充実感を味わうことが出来ます。幾度も経験しますと、一歩一歩がより自然体になって行くことを実感しています。まさに我が道のステップバイステップです。


大滝正明記   


【カムワッカ より】

子供

種が一日では草花とはならないように、子どもも今日明日では大人にならないように、自然のものは少しずついのちを巡らせている。


大滝さんのステップバイステップに対して、私はどちらかと言えば短期集中型。がーっと集中してまとめてカタチにして行くタイプで、学生時代にアートインスタレーション作品を創っている時には、ほぼ2週間不眠不休でやりつづけ4日間眠り続ける、それが自分のスタイルだと思っていた。

8年前に娘を授かり、日々を一緒に過ごして行く中で、次第に一日というリズムを大切にするようになってきた。24時間かけて地球がぐるりと回転し、月が地球の周りを28日で一回り、地球がおひさまのまわりを356日で一周する。その中でいのちが少しずつ育まれ巡りゆく自然のリズム。

海

産業化が進み、電気や水の供給がスイッチひとつになり、夜昼なく動けるようになった現代生活の中で、ともするとこの自然のリズムを忘れてより効率性や生産性を上げる過ごし方を選んでしまいがちだけれど、いのちを育むには効率も生産性も通用しなくて、やっぱり自然のリズムに和しているなかでこそ育まれていくことがあるのを実感せずにはいられない。


種

ちょうど先日、友人からの貴重なご縁でCWニコルさんが30年の思いと時をかけ育てられている森を探索し、ニコルさんにお話をお聴きする機会に恵まれた。もともとは自然が育んできた森。産業革命以来人間が自然界のバランスより経済性を優先して伐採し、経済的な面から植林し、やがては放置され薮と化している多くの森。多様な生命が育まれている美しい日本の自然に惹かれて日本に来日されたニコルさんは、失われていくその美しい自然に心痛め森づくりを心に決め実際にその活動をするようになって30年だという。

当時の写真を見せてもらいながらの森の散策。今では自然界のバランスがもどり美しい姿を取り戻しつつある森だけれど、製品のようには作ることが出来ずゆっくりと少しずつ育み見守っていくことではじめて生まれるもの。

大滝さんの作品の中に感じる大いなる自然の息吹。それは大滝さんの朝のお散歩に始まり、自然と和した暮らしをされているからこそ醸し出されているものなのかもしれない。そんなことをあらためて感じた今月のコラム。ついつい熱中して夜を通してしまうこともたびたびだけれど、密度は短期に集中しつつも、自然のリズムに和して生きていこうと思った。

カムワッカ 宇井 のどか   




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