
北海道・札幌にある自然食品店「まほろば」。その名は、古代日本語で「理想郷」を意味する。この地で生まれた浄活水器「エリクサー」は、ただの浄水器ではありません。
牛乳にエリクサー水を入れると発酵してチーズになる。共働学舎新得農場が世界に誇るチーズの裏側にも、この水がある。そして、ある日突然の交通事故で生死を彷徨った、新得農場代表宮嶋望さんのご子息、牧也さんの身体に奇跡の力をもたらしたのも、またこの水でした。
開発者は、まほろば創業者 宮下周平さん。その思想と技術は、製品という枠を超え、人と自然、そして“見えないもの”との共鳴を追求しています。
本連載では、宮嶋望さんとのご縁で、長年エリクサーを愛用してきたカムワッカ宇井新が、「まほろば」代表取締役社長 大橋和則さんを訪ね、まほろばに宿る哲学や、数々の想定外のエピソードをお聞きしながら、「食」と「水」そして「生き方」をめぐる「まほろばの道」をたどっていきます。


北海道・札幌の自然食品店「まほろば」。その創業期から今日までを支えてきた大橋さんの語りには、私たちが忘れかけた「人間の力」がにじんでいる。
今回から始まる連載では、浄活水器「エリクサー」をはじめとする製品の背景にある思想、そしてまほろばの根底に流れる「自立と共鳴」の哲学を、大橋さんの人生を通して紐解いていく。
第1回は、大橋さんの“原点”にあたる青春時代、そして札幌・まほろばに至るまでの物語です。
過酷すぎる高校時代 ─ 浜ちゃんの1年後輩だった日生学園
「寮生活で前の席が浜田雅功(ダウンタウン)だったときがあるんですよ」と、にこやかに語る大橋さんだが、次に続くエピソードは衝撃的だった。
進学したのは、三重県にある超スパルタ私立高校「日生学園」。全国から非行歴のあるような子どもたちが集められ、「人間教育」の名のもとに、厳しすぎる規律と訓練を課される学校で、大橋さんの在籍した時期は最も過酷な時代だったとのこと。
朝4時半に起床し、全校生徒1800人が道場に集まると、「ワッショイ」と腹の底から全力で声を出し、床磨きを始める。便器は素手で磨き、先輩のエピソードでは、その磨き上げた便器の水で歯を磨いたという。
逃亡防止のために、1日に何十回も点呼があり、監視は徹底。先輩の命令は絶対で、理不尽すらも飲み込むしかない日々。ラグビー部に所属してからは、暴力が日常化する“指導”の中で、キャプテン、副寮長として過ごす。「床を全力で磨くうちに、無我の境地に至る。天とつながる瞬間がある。世の中に出て一隅を照らす人物になれ」という教育方針。
その言葉からは、ただの苦労話を超えた「覚醒」の気配すら感じる。極限状況のなかで、大橋さんは自分の限界と向き合い、弱い立場の人の気持ち、病気を患ったときのつらさ、言霊の力、厳しさ..... 人間の根っこに触れていたのだ。

家族、農業、そして札幌へ ─ 次なる試練と転機
卒業後は、実家である農業の手伝いをするが、父親が取り組んでいた営農指導と農業資材の販売、農産物の物流では、裏切り、借金問題や反社会勢力にも絡まれるなど、トラブルが続き、父親は精神的に衰弱、さらには、兄の交通事故などもあって家族は大混乱。一時は自殺を考えてしまうほどの状態に.....
「高校時代の苦しみは“個”のレベル。でもあのときは、家族という“社会”全体が崩れていくどん底でした」
精神的に追い詰められた大橋さんは、このままでは自分の人生は終わってしまうと新たな道を探り、札幌への移住を決断する。24歳、軽トラ1台に家財を積み、貯金を全部家に置いていき、ゼロからの出発だった。
「まほろば」との出会い ─ “本物”を求めて
そんな大橋さんが出会ったのが、創業間もない自然食品店「まほろば」だった。当時は古民家風の10坪ほどの小さな店で、スタッフも数人ほど。しかし、代表の宮下さんが放つ直観的な知性に不思議と“本物”の気配を感じたという。まほろばは、営農指導先の農家さんが生産していた長ネギを、指先でテストする方法で評価することで噂になっていた。
ちょうど営業の際に、生産者の性格から農産物の作り方まで見事に洞察する姿を目の当たりにした大橋さんは、『営農指導の際に、この畑にはこの資材を使えばいいと言ってはいるけども、結果の出る生産者と出ない生産者がいる。この方法なら、その課題をクリアできるのではないか』と感じることがあったそうだ。
「最初はアルバイトとして入ったんですが、定休日があり、とにかく、働けることが嬉しくて仕方なかったんです」
飽きっぽい自分が、なぜこんなに夢中になれるのか。その理由を、大橋さん自身が一番驚いていた。
「創業者の宮下夫婦は、いつも想定外のまさかな事を言ってくるので、飽きないんですよ」
この出会いが人生を変えた。そして、後に浄活水器「エリクサー」誕生へと続いていく。

極限を知る者だけが語れる「真のやさしさ」
日生学園での過酷な体験、家庭の崩壊、そしてまほろばでの再出発。すべてが極限の中での“学び”だったと、大橋さんは静かに語る。
この連載では、大橋さんの語る「食・水・健康・精神」の深い結びつきを、全六回にわたって追っていきます。第二回は、浄活水器「エリクサー」誕生までの道のりをお届けする予定です。

















