
「自然食品業界というのは、本当は“なくていい業界”なんです」
この言葉に、大橋さんの思いが凝縮されている。オーガニックやサプリメント、浄水器..... それらを扱いながらも、まほろばは決して“健康ビジネス”に流されることはない。なぜなら、本当の健康とは、依存をやめて、自分自身に目覚めることだからだ。
自然食が“業界”であるという矛盾
「オーガニック市場が成長している?それって、ほんとにいいことですか?」
元来、“自然な食”は、特別なものではなかったはずだ。それがいつしか“健康志向ビジネス”に変わり、情報と不安によって人々に“選ばせる”構造になっている。
「身体にいいことをしたいはずなのに、気づけば“搾取される側”になっているんです」
その構造を問い直す視点が、まほろばの根底にある。
真の健康とは“手放すこと”から始まる
「健康は、“何を食べるか”で決まるのではない。“何を手放せるか”です」
食生活の見直しも、体調の回復も、まずは“引き算”から始まる。溢れすぎた情報、サプリ、加工食品.....。本当に必要なものは、身体が教えてくれる。
「お腹がすいたときに食べる。それだけで、どれだけの感謝と喜びが戻ってくるか」


“卒業”できてこそ本物
まほろばには、「一生使ってもらいたい」という執着がない。むしろ、健康になって「もう必要ない」と言ってもらえることを喜びとする。
「健康になってもらったら、やめてもらえばいい。依存じゃなくて“卒業”のための道具なんです」
いわゆるビジネスとは逆行するような姿勢。だが、それこそが大橋さんたちの“まほろば”たる所以だ。
未来への構想 ─「まほろば村」から始まる社会変革
学校、農園、住まい、食、学び、対話..... それらが一体となった「まほろば村」の構想は、まだ終わっていない。風力発電の計画で一度は土地取得を見送ったが、現在も行政改革や地域活動として息づいている。
「日本全体が“民の声”で変わっていく。その点になれたらいいと思ってます」
創業者の宮下夫婦も農作業に全力投球し、“地に根ざす暮らし”を実践している。これは単なる理念ではない、「実践する思想」だ。
さらにこれまでの経験を昇華し、執筆や講演活動を続けながら、心も身体も社会も、国全体が皆健やかな理想郷「まほろば」に向かうよう奮闘している。

自分自身を感じる力から始まる
自然食を特別視する社会を終わらせ、「それが“当たり前”になる未来」をつくる。それが、まほろばの願いだ。
そして、その実現は、食やサプリの選択から始まるのではなく、「自分自身を感じる力を取り戻すこと」から始まる。
「搾取されないために、“自分の中心”に立つ。食べることも、生きることも、そこから始まるんです」
最終回で六回にわたり綴ってきた「まほろばの道」は、単なる製品の物語でも、健康法の紹介でもありませんでした。それは、自然とともに生きるとはどういうことか、自分自身の声にどう耳を澄ませるかを問い直す旅でもありました。
この連載が 「自分の感覚を信じる」ことへの小さな扉となり、 日々の「食」や「水」との向き合い方、そして「生き方」そのものを見つめ直すきっかけとなることを、心から願っています。
“まほろば”という名のもとに紡がれてきた知恵と実践が、これからの時代をより自由に、よりしなやかに、そしてより幸福に生きるための道しるべとなりますように。

















